転職では自己分析が大事といわれますが、「本当に必要なの?」と思っている人もいるでしょう。
自己分析とは、自分の職務経験や心の整理をつけるための作業です。
日頃から自分の内面をよく見つめている人や自分を理解している人であれば、自己分析をしなくても転職を成功させることはできるかもしれません。
しかし、転職を確実に成功させ、後悔のない人生を送りたいのであれば、自己分析に時間を費やすことには大きな価値があります。
そこで今回は、転職で自己分析が必要な理由についてご紹介します。
筆者は公務員を退職して専門学校に入学してから、自己分析・理解に多くの時間を費やしてきました。
未経験の保健営業に転職したときも、そのときの自己分析が役に立ったと感じています。
短期間で自己分析を終わらせるポイントも解説するので、ぜひ気楽に読んでみてくださいね。
自己分析とは、自己プロデュース力
転職における自己分析とは、自身の職歴・経験、心の中を整理して、自分自身を棚卸しする作業をいいます。
転職の目的は、自分が希望する企業に入社することだと思いますが、過去・現在・未来の自分を棚卸しすることで、持っている資産を確かめるわけです。
たとえば、家の中の物を整理するにしても、何が必要で何が要らないのかわかっていないと、売ることも処分もすることもできないでしょう。
同じように志望動機や自己PRを書く際も、自分自身が持っている資産がわかっていないと企業に自分の価値をアピールできません。
そういう意味で自己分析とは、自己プロデュース力ともいえます。
自己分析と聞くと「面倒だな」と思う人もいるかもしれませんが、転職が成功するかどうかは自己分析の出来不出来にかかっているのです。
転職で自己分析が必要な理由
自己分析の必要性を感じている人とそうでない人とでは、自己分析に対する取り組み方が変わってきます。
そうなると当然、結果も変わってくるでしょう。
以下では、転職で自己分析が必要な4つの理由についてご紹介します。
- 後悔しない人生を歩むため
- アピールポイントの整理
- 企業とのミスマッチを避けるため
- 自信を持って面接に挑むため
順番に解説していきますね。
後悔しない人生を歩むため
自己分析の目的は「転職を成功させるため」ですが、それはあくまで狭義の目的といえます。
それ以上に大切なのは、「後悔しない人生を歩むこと」ではないでしょうか?
転職しようと思った動機は人それぞれだと思いますが、何かしらの理由で「今の職場ではダメだ」と考えたのだと思います。
その場合、自己分析せずに転職すると一体どうなるでしょう?
おそらく、現在もしくは前と同じ失敗を繰り返し、新しい仕事に就いても「こんなはずじゃなかった」と思う可能性が高くなるはずです。
そうならないためにも自己分析をして、自分のスキルや経験、気持ちを整理する必要があります。
仕事や働き方で後悔しないためにも、自己分析はやっておくことをおすすめします。
アピールポイントの整理
自己分析をすると、強みや価値観、やりたいことなどのアピールポイントが整理できます。
企業面接では「君は何ができるの?」という強みやスキル面と、「どんなことを大切にしているのか」という価値観・人間性がチェックされます。
もしかしたら、人によっては自己分析が不十分でも、書類選考や面接に合格できるかもしれません。
しかし、企業が知りたいこと・求めることではない、とんちんかんな受け応えをしてしまう可能性もあります。
その点、自己分析をしておくと、そういったリスクを回避できます。
また、前職を辞めた理由がネガティブな理由だった場合には、視点を変えたり、言い換えたりして、ポジティブな理由に転換しておく作業も必要でしょう。
自己分析によって志望動機や自己PRも書きやすくなり、企業に説得力のあるアピールができるようになります。
企業とのミスマッチを避けるため
企業とのミスマッチとは、企業側と転職者側、もしくはその双方が入社後に「こんなはずじゃなかった」と思うケースです。
想定した内容と現実とのギャップともいえます。
たとえば、以下のようなものです。
「残業が多い」
「上司が全く意見を聞いてくれない」
企業とのミスマッチには、業務内容や労働環境、人間関係などいくつもの事例があります。
ミスマッチは自分が不幸になるだけでなく、企業側にとっても「離職率が高くなる」など不幸な結果となります。
企業とのミスマッチを避けるためにも、働き方や待遇面などの情報収集と合わせて、「自分が企業に求めるもの」も理解しておくことが大切です。
主張に一貫性を持たせるため
自己分析ができていると話に一貫性が生まれ、一本筋の通った、軸のある人間と見てもらえます。
「私はこういう人間です」という自分軸が把握できているので、さまざまな角度から質問がきても、つじつまが合います。
その結果、面接にも堂々と答えられるでしょう。
逆にいえば、自己分析が不十分だと、面接官は「この人言っていることがチグハグだな」と感じやすくなります。
これは私の就活時代の話ですが、私は東京都の公務員試験の面接を受けたとき、自己分析が不十分でした。
その面接でとっさに「食育に興味がある」のような発言をしたのですが、実際はそれほど食育に興味はなく、つっこんだ質問に対して上手く答えられず、落ちた経験があります。
これはあくまで就活の話ですが、転職でも同じだと思います。
自己理解が不足していると、受け応えがフワフワしてしまうのです。
話す内容に一貫性を持たせるためにも、「自分がどんな価値観を持っていて、何を考え、大切にしているのか」を自己分析で見つけておく必要があります。
短期間で自己分析を終わらせるためのポイント5つ
自己分析はやろうと思えば、どこまででも際限なくできます。
でも、そんな時間はないですよね?
転職の目的はあくまで「転職を成功させること」なので、なるべく時間は無駄にしたくありません。
そこでここでは、短期間で自己分析を終わらせるポイントを5つご紹介します。
(1)自己分析で探りたいことを明確にする
転職の自己分析では、まず探りたいことを明確にしましょう。
なぜなら、いきなり「自分史を書くぞ」と作業を始めてしまうと、時間がかかるだけでなく、最悪「これどう活かすの?」と無駄な作業で終わってしまう可能性があるからです。
転職では、転職を成功させることが目的なので、それとは関係ない作業は削る必要があります。
転職の自己分析で知りたい主なことは、以下の3つです。
- 強み(できること)
- 価値観(自分が大切にしていること)
- やりたいこと
他にも好きなこと・嫌いなことなどもありますが、大事なのは、自己分析のゴールを意識することです。
転職活動に費やせる時間には限りがあるので、ゴールは明確にして作業の効率化を図りましょう。
(2)事実と感情は分けて書く
自己分析をする際は、事実と感情は分けて書くように意識します。
事実とは、以下のような職務経験やエピソードです。
「体験イベントの企画・運営をした」
「新人の教育担当をした」
一方の感情とは、そのエピソード時の自分の気持ちです。
「もっと上手くできると思っていた」
「二度とやりたくない」
などですね。
加えて、志望動機や面接ではエピソードと紐づけて、結果(成果・学び)も示す必要があります。
上記の例でいえば、「体験イベントの企画・運営をした結果、2日間で述べ3000人を動員した」などです。
転職において事実(職務経験)はスキルや強みに、感情は自身が大切にしている思い・価値観に変換できます。
(3)職務経験を書き出すときは、自分の行動や工夫も盛り込む
職務経験を書き出すときに忘れてはいけないのは、自分の行動や工夫も整理することです。
なぜなら、「1年目にこれをして、2年目にこれをして」と職務経験を挙げただけでは、自分の強みやスキルを見つけにくいからです。
ここでは、先程挙げた職務経験を例に、そこからわかるスキル等を考えてみましょう。
「体験イベントの企画・運営をした」→ 企画・運営ができる
「新人の教育担当をした」→ 新人や部下の教育経験がある
ことくらいです。
しかし、企業が知りたいのは、その職務経験のエピソードの中にある、あなたの行動や成果です。
例えば、「体験イベントの企画・運営をした」でいえば、以下のような部分です。
【自分の行動や工夫】
- SNSでのバズり方を勉強し、3日間で1万リツイートされた
- ターゲットとなる層にヒアリングし、企画に盛り込んだ
- 子どもが楽しめるスペース拡大により、昨年よりファミリー層が増加した
【結果】
- 2日間で述べ3000人を動員した
職務経験で自分の行動や工夫まで振り返った結果、「企画・運営できる」の強みがより具体的になり、企画力や実践力、積極性、向上心などアピールできる材料が増えました。
職務経験を書き出すときには、自分の行動や工夫も一緒に振り返ってみるといいでしょう。
(4)子ども・学生時代のエピソードは深掘りしすぎない
転職の自己分析では、子ども・学生時代のエピソードまで深掘りする必要はありません。
なぜなら、企業が知りたいのは、あなたの仕事経験が中心だからです。
これが就活であれば、まだ仕事経験がないため、小学生や中学生時代のエピソードも振り返った方がいいでしょう。
社会人未経験者の場合、企業側としてはその人が持つ価値観や人間性、将来性を中心に採用を決めるしかないからです。
ただ、もし時間に余裕があるのであれば、転職でも「子どもの頃好きだったこと」などを振り返ってみることをおすすめします。
その方が自分の心の奥底や本質に迫れるので、自分に合った転職先を見つけやすくなり、人生の満足度も高くなるといえるからです。
転職の自己分析では、職務経験を中心に棚卸しして、余裕があれば子ども時代も振り返るようにしてみてください。
(5)キャリアプランは、なりたい自分像だけでいい
就活・転職用の自己分析本を見ると、多くの場合「5年後や10年後のキャリアプランを描きましょう」と書かれています。
「5年後に、〇〇の資格を取得し、チームリーダーになる」
「10年後に、統括マネージャーとして海外出張する」
などですね。
しかし、個人的にはこれだけ変化の激しい時代において、もはやこういったキャリアプランは、あまり意味をなさないような気がしています。
そこで今現在、特にキャリアプランがないという人には、なりたい自分像だけイメージしておくのがおすすめです。
「最終的にはこういう働き方をしていたい」「この分野・仕事で活躍する」など理想の自分像を持っていると、仕事に求める条件・働き方・やりたいことを整理できます。
キャリア設計をすると、転職を “点” ではなく “線” で考えられるので、これまでの仕事経験やスキルも無駄にならずに済むでしょう。
私の場合は「自分が立ち上げたビジネスで成功を収めること」が理想のイメージです。
「自分が立ち上げた」の時点でもう会社員としての選択肢はありませんね。
ですから、アウトドア指導者から未経験の保険営業に転職した理由も「起業に向けて営業力をつけるため」でした。
ブログ運営も、自分の理想を達成するための手段の一つです。
キャリアプランは、仕事と家庭、健康など分野ごとに決めても構いません。
特に結婚に関しては、仕事にも影響するライフイベントなので、「どんなパートナーがいいか」など仕事のキャリアと合わせて考えておくといいでしょう。
誤解のないように伝えておきますが、私は「○年後に▲▲になる」と書く方法も否定はしません。
むしろキャリアプランは具体的な方が目標としやすく、実現の可能性も高まると思っています。
自分の将来を考えたときにワクワクする方法で、キャリアプランを考えてみるといいですね。
まとめ
転職では、自身が持つ経験や強みを企業に伝えなくてはなりません。
自己分析が必要な理由には、アピールポイントの整理、企業とのミスマッチを避けるなどがありますが、根本の目的は、自分が理想とする仕事・働き方を手に入れるためです。
自分が何を大切にし、どんなことができるのかが整理されていると、志望動機や自己PRも書きやすくなり、面接でも自信を持って受け応えできるでしょう。
自己分析は終わりなくできてしまうので、転職では探りたいことを明確にし、ポイントを整理することが大切です。
職務経験を書き出すときは事実と感情を分けて、自分の行動や工夫も書くようにすると、強みやスキルを発掘しやすくなります。
価値観は自分の感情や気持ちを振り返らないと、なかなか見えてきません。
転職での自己分析は思ったよりも時間がかかることもあるので、早めに着手していくといいですよ。