将来やキャリアを考えたとき、「このままでいいのか」と漠然とした不安に駆られることがあります。
でも、今の会社に不満があるわけではありません。
特に20代後半から30代前半頃は、仕事に慣れてきたこともあって、今後のキャリアについて悩みやすい年代といえます。
私も市役所職員を辞めたのは、26歳の頃でした。
ただ、転職は人生において大きな決断なので、「本当に転職先が見つかるか」「新しい職場でやっていけるか」など、今の環境を手放すことに不安を感じる人も多いでしょう。
そこで今回は、転職しようか迷ったときに考えるべきことについてご紹介します。
このタイミングで、いかに真剣に自分と向き合うかで今後の人生は変わってくるので、今、仕事について考えることには大きな意義がありますよ。
転職しようか迷ったときに考えるべき7つの質問
転職しようかどうか迷ったときは、じっくり自分について振り返る時間が必要です。
以下は、転職しようか迷ったときに自分に問いかけたい7つの質問です。
現状に退屈していたり、「他会社に行けば何か変わるかもしれない」と思っていたりする場合、何となく「転職しようかな」と思うことがあります。
しかし、具体的な夢や目標は何もないのに、「何かアクションを起こしたい」と転職を決意してしまうのは危険です。
ここで気をつけたいのは、勢いで仕事を辞めることです。
何の計画性もなく仕事を辞めると、収入が急に途絶えて、生活は苦しくなります。
「今の仕事が精神的にツラすぎる……」という場合は別ですが、転職に迷ったときは、転職自体が目的になっていないか考えてみましょう。
あと3年、5年、10年、定年まで今の会社に勤め続けたら、自分はどうなっているでしょうか?
「そこに充実感や幸福感はあるか」「自分が望む働き方や仕事はできているか」などは、転職前に考えてみたいことです。
なかなか未来のイメージが湧かない場合には、以下の項目を参考に理想の将来像をイメージしてみるといいでしょう。
・スキル
・収入
・やりがい
・人脈
・夢
・才能の発揮
ここでのポイントは「今の会社に残ったとして、最終的に自分が望む未来に辿り着けるのか」です。
たとえば「高収入を得て、有名人と知り合いになっていたい」「自分の才能や強みを発揮して、独立起業していたい」など、人によって望む未来はさまざまでしょう。
50歳や60歳の自分をイメージしたとき、どうなっていたら満足感や充実感が得られるでしょうか?
特定の事柄が原因で転職するか迷っている人は、「その悩みは今の会社で解決できないのか?」を考えてみてください。
悩みのタネとしては、たとえば以下のような項目があります。
・スキル
・人間関係
・収入
・待遇
・仕事内容
・自己実現(強み・才能の発揮など)
悩みは言語化すると課題がハッキリするので、解決策を導きやすくなります。
今の会社で可能な対策としては、「上司に相談してみる」「他部署への異動」「仕事の仕方を変える」などがあるでしょう。
また、自分の希望を満たす会社を探すことも、今の仕事を続けながらできることです。
会社や仕事に不満があると「この会社はもうだめだ」と思いがちですが、果たして今の会社を続けたまま解決できない悩みなのか、客観的な視点で考えてみるといいでしょう。
転職した場合、新たに得られるものもあれば、逆に失うものもあります。
それが何かをちゃんと理解できているでしょうか?
転職しようかと思ったときはまず、今の会社で得ているもの・得られないもの、辞めて失うものをリストアップしてみましょう。
たとえば、市役所職員(青少年教育担当)を辞めたときの私の例はこんな感じです。
今の会社で得ているもの | 今の会社で得られないもの | 辞めて失うもの |
・安定した収入 | ・スペシャリストとしての専門スキル ・他業界や他職種での経験 ・好きな仕事の追求 | ・堅実な仕事 ・ブランド力や知名度 ・安定収入と福利厚生 ・居心地の良い職場環境 |
転職前にこの棚卸しができていないと、転職後に「前の会社の方が良かった……」と後悔しやすくなります。
お金、健康、人間関係など多角的な視点から、今の会社で得ているもの・得られないもの、辞めて失うものを振り返ってみましょう。
仮に今の会社を辞めるとした場合、自分はこの仕事を「やり切った」と自信を持って言えるでしょうか?
達成感や満足感など気持ちの面も大切ですが、実績やスキル、専門性の獲得などについても考えてみましょう。
もし、以下のような点に当てはまるのであれば、もう少し辞めるのを待った方がいいかもしれません。
「まだこの会社で学ぶことがある」
「ネガティブな退職理由がない」
「一定の成果をあげていない」
転職に迷う時期というのは、そこそこ仕事を覚え、慣れてきた頃にやってきます。
今の会社を辞めた後で、当時のことを振り返ったとき「あの頃、全て出し切ったよな」と思えそうでしょうか?
他会社で活かせるスキルとは、ポータブルスキルと呼ばれるものです。
ポータブルスキルとは「持ち運びできる能力」を意味し、別業界や別職種にもう応用が効くスキルを指します。
たとえば、
・課題解決力/課題発見力
・計画力
・マネジメント力
などは、ビジネス全体に共通する力であり、どこの会社でも必要とされるスキルです。
そういったポータブルスキルを今の会社で獲得できているでしょうか?
ポータブルスキルの種類は幅広く、他にも他者を思いやる力やニーズを察知する力など人間関係に影響を与える力も含まれます。
転職においてスキルとは<仕事に役立つ力>であればいいので、「ちょっとわからないな」というときは、キャリアの棚卸しをしてみるといいでしょう。
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転職に向いていない人の特徴として、目的意識やビジョンを持っていないことが挙げられます。
あなたは転職して、何を実現したいのでしょうか?
やりたいことや夢、目標など、自分が転職で求めるものを整理してみましょう。
転職では自分のやりたいことばかりではなく、会社が求めている人材を知り、自分が貢献できることは何かを考えることも重要です。
そうしないと、企業とのミスマッチからすぐに辞めてしまう結果を招いてしまいます。
まずは転職で実現したいことを考え、それが一通り整理できたら、企業研究として会社が求めている人材を調べてみるといいでしょう。
仕事にやりがいを感じない2パターン
仕事にやりがいを感じなくなるパターンには、以下の2種類があります。
(2) 仕事がラクすぎる
どちらの感覚に近いかで、転職した方がいいのか止めた方がいいのかの身の振り方は変わってきます。
(1) 飽きた
仕事にやりがいを感じなくなる一つ目の原因は「飽き」です。
ちょうど仕事に慣れてきた頃に起こりやすく、1ステージをクリアし、2ステージいる段階です。
この段階では仕事にこそ飽きていますが、仕事の取り組み方や専門性など、まだ学べることが多くある場合があります。
転職を迷っているのであれば、もう少し今の仕事を続けてみるなど、決断を急ぎすぎないようにしたい段階です。
(2) 仕事がラクすぎる
仕事にやりがいを感じなくなる二つ目の原因は、「仕事がラクすぎる」ことです。
仕事のやり方や専門知識、経験が十分に蓄積され、今の仕事の最終ステージにいるようなイメージです。
この場合は今の仕事が簡単すぎるため、手応えがないように感じやすくなります。
更なる成長を望むのであれば、よりレベルの高い仕事に挑戦できる会社を探してみるのもありでしょう。
会社は失った時間を返してはくれない
転職するにしてもしないにしても、人生は一度切りです。
今の会社いることを選んでも、転職をすることを選んでもいいのですが、誰も自分の人生の責任を取ってはくれないことは理解しておきましょう。
転職に向いている人や向いていない人など、さまざまな情報が世の中には溢れていますが、大切なのは、自分が後悔しない選択になっているかどうかです。
たとえ転職して給料が下がっても、安定企業に勤めていて周りから「辞めるなんてもったいない」と言われても、自分が「これでいい」と納得できていればそれでいいのではないかと思います。
私が市役所職員を辞めるときも、公務員は一般的に安定といわれている仕事なので友人や知人から「もったいない」と言われました。
でも、自分なりに真剣に考え抜いて出した結論だったため、今でも退職したことを後悔せずに済んでいます。
最終的に転職するのかしないかを決断するのも、どんな人生を歩むのかを決めるのも自分次第です。
過ぎ去った時間は返ってこないので、今の会社に残るにしても転職するにしても、「これで良かったのだ」と自分の人生に責任を持つ覚悟だけはしていきましょう。
「転職が不安……」と感じる人に伝えたいアドバイス
転職への不安は、年齢を重ねるほど大きくなっていくように感じます。
ここでは、転職に不安を感じている人に向けて、前向きになれるアドバイスをご紹介します。
転職とは不安に感じるもの
「新しい職場でやっていけるか」「収入が下がらないか」「転職先はあるか」など、転職への不安は数多くあります。
でも、転職とはそういうものです。
これまで築き上げた役職や地位、居心地の良い環境を捨てて新しい環境に挑戦するわけなので、不安を感じないはずはありません。
そこで転職するかどうかの一つの判断材料になるのが、そんな不安を頭の片隅に抱えていても、貫きたい意志があるかどうかです。
私が26歳で市役所を退職したとき、「好きな仕事で本当に生きていけるのか知りたい」と思っていました。
きっかけとなったのは、同期の仲間や他職員が仕事で体調を崩し、休職していたことです。
そこから仕事や働き方そのものに疑問を抱くようになり、結果として別のキャリアへと方向転換していきました。
新しい環境へのチャレンジや変化に不安はつきものですが、次のステップに進みたい強い目的や目標があると背中を後押ししてくれます。
30代の転職も、今は当たり前の時代
「転職はやっぱり20代でないと無理なんじゃ」と思うかもしれませんが、今は時代も変わって、30代や40代の転職も当たり前になりました。
30代以降の転職で主に求められるのは、即戦力です。
30代以降はライフスタイルの変化などもあって、年齢を重ねるほど、20代より不安は強くなると思いますが、短期間で戦力になれる人材であることをアピールできれば採用の可能性は高まるでしょう。
もう年齢を理由に転職を諦める時代は終わったので、転職したい理由や職務経験を棚卸しして、新たなチャレンジも考えてみてください。
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きちんとした自己分析で転職の成功率を上げる
広義の自己分析とは、深く自分の内面を見つめることで、経験・思考・才能・資質を整理し、人生の質を向上させるための作業です。
そういう意味では、転職しようか迷っている段階で、すでに自己分析は始まっているといえます。
自己分析は志望動機や自己PR、面接にも影響してくるものなので、きちんと自己分析できているかどうかは転職の成功を左右します。
一人では転職すべきかどうか判断できなかったり、強みの発見が上手くできなかったりするときは、転職エージェントやキャリアカウンセリングも活用してみるといいでしょう。
専門のアドバイザーが、個々の不安や悩みに寄り添いながら、強みやスキルの棚卸しを手伝ってくれます。
以下のサイトは「転職するかどうか迷っている……」という人も利用できるので、気になる人は無料相談だけでも受けてみるといいでしょう。
自己分析とは、これまでの職務経験やエピソード、気持ちなどを探る作業です。就活ではあまり自己分析しなかった人でも、転職では「自己分析しようかな」と考える人もいますよね?転職では志望動機や自己PR、面接で、自分を採用する価値を企業に[…]
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まとめ
転職は人生でも大きな決断なので、本来は他人がどうこう言える問題ではありません。
そのため、今の会社に残ることも、転職することのどちらを選ぶのも自由です。
転職するかどうか迷ったときは、「転職自体が目的になっていないか」「今の会社で得ているもの・得られないもの、辞めたときに失うもの」など、ご紹介した質問を参考に心の中やスキルを整理してみましょう。
転職の目的が明確であるほど、希望する会社や仕事は探しやすくなりますし、場合によっては足りない経験やスキルも見えてきます。
「今の会社で得ているもの」などは退職後に気づいても遅いので、ぜひピックアップしてみることをおすすめします。
最終的にどんな決断をするにしても、自分が「これで良かった」と思えることが大事なので、じっくりと自分の気持ちや職務経験を振り返ってみてくださいね。