転職は人生でも重大な決断の一つです。
でも、こんな悩みをずっと抱えていないでしょうか?
・どんな仕事が向いているのかわからない……
・自己分析したいけれど、どうやって進めたらいいの?
・自分の強みやアピールポイントが知りたい
自己分析は、企業へのアピールポイントを整理するための作業であり、転職を成功させたいのであれば必須といえます。
そこで今回は、転職における自己分析のやり方について、公務員と会社員の両方を経験し、フリーランスになった筆者がご紹介します。
自分理解が深まるとアピール材料が増えて、企業が求める人材像ともマッチさせやすくなりますよ。
転職の自己分析で探りたい3つのこと
自己分析はやろうと思えば無限にできますが、転職の自己分析の場合は、探りたいことがある程度決まっています。
具体的には、以下の3つを転職では明確にします。
・強み(スキル、できること)
・価値観(自分が大切にしている思い)
一つ目の転職したい理由を明確にするのは、企業へのアピールというよりも、自分の心の内を整理するためです。
「スキルアップしたい」「これまでの経験を生かしたい」などポジティブな理由であれば、そのまま志望動機としても使えるでしょう。
ネガティブな理由は、転職して同じことを繰り返さないための企業選びの基準として使えます。
二つ目の強みやスキルについては、大半の人が必要性を理解しているでしょう。
転職では企業に「自分は〇〇で貢献できます」とアピールできなければなりません。
就活と違って、転職では即戦力が求められる傾向があるため、企業は「具体的に何ができるか」を知りたがっています。
あわせて読みたい >> 【強みがないなんてウソ!】転職に活かせる“強み”の見つけ方
三つ目の価値観は、自分が仕事で大切にしている思いのことであり、自分軸ともいえます。
転職時に価値観を明らかにしておくと、入社後の企業とのギャップが避けられ、無理のないスタイルで働けるでしょう。
あわせて読みたい >> 転職における価値観の見つけ方と面接での回答例
また自己分析では、その他として以下のような点も探っておきたいところです。
・やりたいこと、やりたくないこと
・今後のキャリアの方向性
これらは必ずしも企業アピールには直結しませんが、自分が輝ける仕事に就き、理想の働き方を叶えたいのであれば必要です。
仕事によっては「できるけど、やりたくない」こともあるので、自分自身の本音と向き合います。
転職後に「この会社じゃなかった……」と後悔することだけは避けたいですからね。
【4ステップで解説】短期間で完了する転職の自己分析のやり方
転職の自己分析は、自分の強み・スキル・価値観を明確にすることが目的です。
そしてなるべくなら余計な作業はなしにして、短期間で自己分析を終わらせたいですよね?
ここでは自己分析のやり方を、以下の4ステップにまとめました。
【自己分析のやり方】
1. 転職したい理由を整理する
2. 自分が転職で求めるものを書き出す
3. 職務経験の棚卸し
4.(3)の経験を強み・スキルに言語化する
1、転職したい理由を整理する
ここで質問ですが、なぜ、あなたは転職したいのでしょうか?
「人間関係に不満がある」「収入が低い」「スキルアップしたい」など、転職したい理由を思いつくまま挙げてみましょう。
たとえ、ネガティブな理由であっても構いません。
転職の理由が明確なほど、モチベーションも高まり、意欲的に活動できます。
ポジティブな理由であれネガティブな理由であれ、まず自分の本音と向き合って転職したい理由を整理します。
2、自分が転職で求めるものを書き出す
転職を考えたということは、今の会社や仕事で何か満たされない部分があったからでしょう。
ここではその満たされていない部分、自分が転職で求めるものを書き出していきます。
たとえば、以下のような具合です。
・毎月100万円の収入
・人間関係が良好な職場
・マイペースで働ける
・副業や兼業ができる
・感謝される仕事がしたい
・スキルが身に付く
これは誰に見せるわけでもないので、箇条書きで思いつくままに書いてみましょう。
もちろんすべてが叶うわけではありませんが、視覚化することで選ぶ企業・仕事が明確になります。
すぐに浮かばない場合は、絶対やりたくないことから書いてみるのもおすすめです。
自分が求めるものを書き出した後は、優先順位も決めておきましょう。
3、職務経験の棚卸し
自己分析において、最もコアとなるのが職務経験(キャリア)の棚卸しです。
棚卸しとは、これまで経験した全ての仕事を書き出し、整理する作業のことです。
職務経験を振り返ることで、強み・スキル・価値観など自分のアピールポイントが見つけられます。
棚卸しでは、「3年新規開拓の営業をした」「プロジェクトの企画を担当した」など単なる仕事の経験だけでなく、そのときの気持ちも振り返ります。
そこで抱いた気持ちには価値観(自分が大切にしている思い)が隠されている可能性があり、自分軸を見つけるきっかけとなるからです。
職務経験を振り返るときには、以下のリンクにある<職務経験シート>を活用してみるといいでしょう。
職務経験シートには、
・自分の行動や工夫
・感情(それぞれの仕事時の気持ち)
・結果(成果や学び)
の4つの記入項目があり、これ一枚で強み・スキル・価値観が見つけられる構成となっています。
他の転職本やワークシートを使う場合でも、できるだけ情報は一つにまとまっている方が整理しやすくなりますよ。
あわせて読みたい >> これ一枚だけ!強みが見つかる職務経験シートの書き方【4つの手順】
4、経験を強み・スキルに言語化する
職務経験シートでの棚卸しが完了したら、書き出した経験等を強みやスキルへと言語化していきます。
正直、ここが一番難しいかもしれません。
シートに記入した担当業務や自分の行動をじっくり見ながら、企業へアピールできる強みを考えてみましょう。
価値観(自分軸)は、各仕事をしたときの感情に注目すると見つけやすくなります。
たとえ担当業務が違っても、「人を手助けしたい」など共通して大切にしている思いが何かないでしょうか?
仕事の仕方にもよりますが、価値観は自分の行動や工夫となって表現されている場合が多くあります。
それでも「自分の強みが全然わからん」というときは、以下のキーワードを参考にしてみてください。
職務経験シートと照らし合わせることで、アピールポイントが見つけやすくなるはずです。
あわせて読みたい >> 転職の自己PRに役立つ《強みキーワード》一覧
体力/忍耐力/継続力/協調性/チームワーク能力/素直さ/向上心/度胸/目標達成力/適応力/ストレス耐性/ルール遵守力/積極性/チャレンジ精神/行動力/責任感/課題発見力/情報収集力/創造力/発想力/文章力/ピンチ対処力/交渉力/説明力/論理的思考力/コスト意識/指導力/マネジメント力/先見力/リスクマネジメント/企画力/奉仕精神/人脈創造力/調整力/編集力/接客力
より深く自分を知るためのプラス要素2つ
転職での自己分析では、時間に余裕があれば、以下の2つも振り返ってみるといいでしょう。
- 子ども時代に好きだったこと
- プライベート
特に子ども時代に好きだったことは、純粋にやりたいことをやっていた可能性が高いので、転職で自己実現を図りたいときには、一度は振り返っておきたい項目です。
振り返りのポイントとしては、「その遊びの何が楽しくて、好きだったのか?」という質問を自分に投げかけます。
私の場合、子ども時代によくガラクタを集めたり、自然の中で遊んだりしていました。
振り返ってみると「何かが作れるかもしれないワクワク感」「自由さ」「創意工夫」「新しい発見」などに心が躍っていた気がします。
プライベートは、時間を忘れてやってしまうことや休日の過ごし方などを振り返ります。
「夢中で海外ドラマを見てしまう」など些細な活動から、仕事に活かせる才能を見つけられるかもしれません。
あなたはどのタイプ? 4つの行動特性
行動特性では、どんな働き方が自分に向いているかを明らかにします。
ここでは4タイプに分類したので、自分がどのタイプの傾向が強いか振り返ってみましょう。
・個別行動型:自分の信念が大事。協調性はあまり重視しない
・組織型:チームワーク重視。組織の上下関係に適応できる
・クリエイティブ型:創り上げるのが好き。常識にとらわれない
・ルーティン型:同じ作業も苦ではない。ルールを遵守する
働き方は、業界や職種によってさまざまです。
自分がのびのびと働けるスタイルはどれなのか、転職前に確認しておくといいでしょう。
他己分析で自分の分析結果を確認する
他己分析とは、自分の良さや長所を他人に伝えてもらう分析手法です。
わかりやすい例は、家族や知人から「あなたの長所は〇〇だよね」と言ってもらうことでしょう。
他己分析によって客観的に自分の印象や強みが把握できるので、自己認識のズレの修正も兼ねて、自己分析後にはやっておきたいところです。
同僚や知人、家族から自分の長所や短所を聞き出すことが難しい人は、適職診断などのサービスを利用するといいでしょう。
転職では、自己分析と他己分析が重なった部分の強みをアピールしていきます。
自己分析はあくまで自分自身による評価なので、企業に違和感を与えないためにも他己分析はしておきましょう。
あわせて読みたい >> 【やる意味がない?】転職での他己分析のやり方と3つの注意点
自己分析する際の注意点
自己分析をするときは、以下の4点に注意するとスムーズに運びやすくなります。
作業の目的を意識する
転職における自己分析の目的は、強みや価値観など転職で必要なアピール材料を集めることです。
転職本や自己啓発本などを使うときは、「その質問で何を明らかにしたいのか」を意識して取り組むようにしましょう。
自己分析には終わりがないので、作業目的を意識していないといつまでたっても終わりません。
最初からキレイな文章でまとめようとしない
自分が求めるものや職務経験などを最初に書き出すときは、上手くまとめようとしないでください。
きちんとした文章でまとめようとすると、手が止まりやすくなります。
職務経験シートでいえば、まずは箇条書きでもいいので、印象に残っている仕事や経験などを書き出してみましょう。
思いつくままに、そのまま書くことが大切です。
時系列や年齢別などにキレイにまとめたり、清書したりする作業は後からでもできます。
失敗経験も書く
職務経験の棚卸しでは、失敗したエピソードも書いておきましょう。
印象に残った挫折や失敗とそれを克服したエピソードは、企業へのアピールポイントになる可能性があります。
失敗を通じて学ぶことは多いので、無視せずにそれも書き出してみましょう。
学生時代の棚卸しは不要
第二新卒の募集や中途採用など、転職で企業が聞きたいのは仕事経験です。
入社してできること・仕事に活かせる経験やスキルを企業は知りたがっています。
そのため、学生時代の棚卸しは必要ありません。
ただ、心の奥底にある本当にやりたいことや価値観を見つけたいのであれば、子ども時代から学生時代までを振り返ることにも意味はあるでしょう。
転職における自己分析の中心は、あくまで仕事上の経験やエピソードです。
キャリアプランの描き方
キャリアプランは、今後の人生をどう展開していくか見据えた、いわば人生のコンパスです。
転職はキャリアプランなしでも成功するかもしれませんが、自分が進むべき方向性の軸が何もないと、いずれ仕事や働き方で迷うときがやってくるでしょう。
キャリアプランは、なりたい自分像と目標設定の2つから描いていきます。
1、将来、なっていたい自分像を思い描く
なりたい自分像とは、5年後、10年後になっていたい自分の姿です。
40代・50代・60代になったとき、自分はどんな風になっていたら幸せでしょうか?
・スキル
・働き方
・人間関係
・家族
・健康
・社会的地位
すぐには思い浮かばないかもしれませんが、経験やスキルを積み上げていくためにも考える価値は十分にあります。
キャリアプランを描くときは仕事に絞ってもいいですし、それぞれの分野または人生全体で考えてみてもいいでしょう。
なりたい自分像は、自分の夢や価値観、やりたいことなどから考えてみるのも一つの手です。
2、短期/中期目標を設定する
ボンヤリとなりたい自分像が見えてきたら、今度はそこに到達するまでに必要な経験やスキルを逆算して考えてみましょう。
短期・中期目標の設定とは、なりたい自分像へ向かうためのレールを敷く作業です。
たとえば、独立したい人であれば、以下のような目標設定をすると考えられます。
・3ヶ月後までに〇〇の知識を学ぶ
・1年後に▲▲の資格を取る
・マーケティングの勉強をする
転職では入社する企業が、なりたい自分像の「どこに役立つのか」を理解していないといけません。
当然、設定した目標通りにすべてが順調に進むわけではありませんし、人との出会いや状況の変化に応じて、方向転換する場合もあるでしょう。
それはそれでいいのですが、トータルで人生を充実させたいのであれば、やはり転職前に目指す方向性は明確にしておくべきだといえます。
まとめ
自己分析の入り口としては、まず転職したい理由や自分が転職で求めるものから書き出してみるといいでしょう。
誰に見せるわけでもないので、自分の気持ちに正直に書くのがポイントです。
転職の自己分析は、仕事上の経験やエピソードを中心に振り返っていきます。
転職において企業が知りたいのは職務経験であるため、強みやスキルもそこから見つける必要があるからです。
単に担当した業務を書き出しただけでは強みは見つけくいので、自分の行動や工夫も合わせて書くようにしましょう。
価値観は自分が大切にしている思いであり、自分軸ともいえる指標です。
「自由でありたい」「困っている人を助けたい」「現状を打破したい」などの価値観は、仕事のやり方や姿勢となって現れます。
転職でキャリアプランまで考えている人は少数派かもしれませんが、自分の才能を生かし、人生全体を充実させたいのであれば、一度じっくり考えてみることをおすすめします。
自分の強みや能力を理解して、企業に採用価値のある人材であることを上手く伝えましょう。