「転職したいけれど、強みがない……」とずっと悩んでいませんか?
自己PRに書けるようなスキルや経験が見つからず、悩んでいる人は案外多いものです。
でも、今の会社で働いてお金をもらっているのであれば、それは会社があなたの能力や成果を認めているということなので、そこで発揮している力は社会で役立つスキルであるといえます。
そこで今回は、転職で活かせる強みの見つけ方についてご紹介します。
現在のフリーランスになるまで自己分析に3年以上を費やし、公務員と民間企業の両方を経験した筆者がわかりやすく解説しますよ。
そもそも強みとは何か?
転職を成功させるには、自分の強みを企業にアピールして、価値を認めてもらう必要があります。
強みとはとてもボンヤリした言葉ですが、強みを別の言葉で表現すると、
- 経験
- スキル
- できること
などが当たるでしょう。
スキルにも性格に関係するソフトスキル(ポータブルスキル)と、専門性に関係するハードスキルの2種類があるため、強みの内容は広範囲に渡ります。
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一般的に強みといえば、すごい実績やスキルをイメージするかもしれませんが、必ずしもそうではありません。
転職における強みとは、「仕事に活かせる力」であればいいのです。
小さな成功体験やできることであっても、今の会社で役に立っているのであれば、それは強みであるといえます。
自分では「強みがない」と思っていても、実は自覚できていないだけで、周囲の人はあなたの強みに気づいていることもあります。
企業がどんな強みは求めているかは、業界や職種によって異なるので、転職では企業や応募するポジションに合わせて、求められている強みをアピールするようにしましょう。
自己PRに活かせる!強みの見つけ方
強みを見つける方法には、大きく自己分析と他己分析の2種類があります。
自己分析は、自分自身で強みを見つけていく作業ですが、他己分析は他人に自分の強みを見つけてもらう分析手法です。
ここでは、強みの見つけ方について5つの方法をご紹介します。
- キャリアの棚卸し
- 周りの声を聞く
- 強みキーワード一覧を活用する
- 適職診断で強みを調べる
- 転職のプロに相談する
キャリアの棚卸し
キャリアの棚卸しは、これまでの仕事経験を振り返ることで、自分の強みを見つける作業です。
自己分析の定番といえますね。
棚卸しするときのポイントは、単に担当した業務や仕事経験を書き出すだけではなく、自分のした工夫や、そのときの感情も書き出すことです。
たとえば「経理事務を3年した」のであれば、仕事の取り組み方やそこでした工夫も書いてみましょう。
同じ作業でも人によって仕事のやり方は違うので、そこに個性が現れます。
また、その仕事をしているときの感情面にも注目することで、自分がどんな仕事でワクワクして、どんなときに辛いと感じたり、嫌だと思ったりするのかが理解できるようになります。
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周りの声を聞く
自分の強みは意外と気づきにくいことがあるので、そういうときは知人や家族、仕事関係の人など周りの声を参考にしましょう。
具体的には、以下のようなことを振り返ってみます。
感謝されたこと
評価されたこと
よく褒められること
自己分析だけだと自信が持てないかもしれませんが、他人が評価している内容であれば、少しは「そうかも」と思えますよね。
強みは、普段自分が当たり前のようにやっていたり、他人より時間をかけずにできたりする作業の中に隠れています。
ちなみに私は、そのポテンシャルを見出されてか、別々の友人から「お笑いにいかないんですか?もったいない」と言われたことが二度あります。
強みキーワード一覧を活用する
自己分析をしても「全然、強みが浮かばない……」場合には、キーワードを参照して、自分の強みを見つけるヒントにしましょう。
自己PRでよく使われるキーワードには、以下のようなものがあります。
体力/忍耐力/継続力/協調性/チームワーク能力/素直さ/向上心/度胸/目標達成力/適応力/ストレス耐性/ルール遵守力/積極性/チャレンジ精神/行動力/責任感/課題発見力/情報収集力/創造力/発想力/文章力/ピンチ対処力/交渉力/説明力/論理的思考力/コスト意識/指導力/マネジメント力/先見力/リスクマネジメント/企画力/奉仕精神/人脈創造力/調整力/編集力/接客力
大事なのは、これらのキーワードに自身を当てはめることではなく、自分の言葉で強みを表現することです。
私の場合、未経験の保険営業に就く際は、これまで子どもの教育活動で企画運営・司会進行してきた経験から「わかりやすく説明できること」をアピールポイントにしました。
自己PR向けのきちんとしたキーワードに落とし込むことは後からでもできるので、まずは棚卸しした経験から「これかな?」と思う強みをいくつか書き出してみましょう。
適職診断で強みを調べる
無料でできる適職診断は、自分の強みを見つけるのに役立ちますね。
「強みなんてないよ……」というときは、とりあえず自分にできることやスキルを見つけるきっかけとして活用してみるといいでしょう。
また、適職診断は他己分析の一種であるため、自己分析で分かったと自分の強みと他人からの評価にズレがないか確認するときにもおすすめです。
自分では「リーダーシップがある」と思っていても、企業や他人からすれば「そうは思えない」ということはよくあるからです。
強みを探るときには、適職診断も上手に活用してみてください。
転職のプロに相談する
一人で強みを見つけるのが難しいときや、長期的なキャリアについて真剣に考えたいときには、転職エージェントやキャリアカウンセリングなどプロに相談するのもいいでしょう。
転職エージェントは、強みやスキルの棚卸しから企業紹介まで、網羅的に転職活動をサポートしてくれるサービスです。
一方のキャリアカウンセリングは有料のサービスですが、仕事からプライベートまでを含めた人生全体のキャリア設計をする際に役立ちます。
どちらも専門のカウンセラーが相談に乗ってくれる点では共通していますが、多くの場合、キャリアカウンセリングには企業案件の紹介がありません。
キャリアカウンセリングの中には無料相談を実施しているところもあるので、気になる人はチェックしてみるといいでしょう。
【注意】強みの発見から遠回りになる作業
強みを見つけるときに、本やワークシートを利用している人も多いと思います。
でも、作業前にそれぞれの質問や項目で「何がわかるのか」を理解してから、取り組んでいるでしょうか?
ここでは強みを見つけるにあたって、「ちょっと遠回りかも」といえる作業を3つご紹介します。
- 子ども時代の棚卸し
- 趣味やプライベートの棚卸し
- いきなり長所と短所を考える
子ども時代の棚卸し
子ども時代の棚卸しをしても、今の強みは見つかりません。
子ども時代の棚卸しで見つかるのは、本当にやりたいことや心の奥底に眠る気持ちなどです。
いわゆる、自分が大切にしている思い、価値観です。
中には、子ども時代の振り返りで強みを見つけられる人もいるかもしれませんが、多くの場合は、子ども時代、学生時代を経て、社会人として新たな強みを手にしていると思いますので、棚卸しは職務経験を中心にやっていくのがいいでしょう。
趣味やプライベートの棚卸し
趣味やプライベートでやっていることが自己PRで使えるのは、基本的に就活での話です。
転職で企業が知りたいのは、これまでの仕事経験や成果から「どんなことで力になれるか」「何ができるか」ということなので、必然的に伝える内容も仕事中心のエピソードが求められます。
受ける企業によっては、趣味やプライベートの活動もアピールポイントになると思いますが、あくまで補助的なものと考えた方がいいでしょう。
いきなり長所と短所を考える
普段から自分を見つめていないと、短所はすぐに出てきても、なかなか長所は浮かばないものです。
自分の良さを見つけたいときは、先に職務経験やエピソードを棚卸しした方が、長所や短所も見つけやすくなるでしょう。
職務経験の棚卸しは、一見、遠回りな作業に思えるかもしれませんが、強みを見つける近道だったりします。
自己分析は、ワークシートや一定の流れに沿ってやると棚卸ししやすくなります。ここでご紹介する職務経験シートは、これまで私が自己分析に費やしてきた経験と、転職本や自己分析に関する書籍を参考に作成しました。職務経験シートは4つの項目に分か[…]
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棚卸し作業で強みが見つからないときに確認したい3つのこと
キャリアの棚卸しをしても強みが見つからない場合は、以下のことをしていないか確認してみましょう。
最初からキレイに整理して書こうとしていないか?
自身の仕事経験を棚卸しするとき、最初からキレイに書こうとしていないでしょうか?
書き始めから年代別に整理したり、ちゃんとした文章にまとめたりしようと思うと、どうしても手が止まりやすくなります。
最初はキレイに書こうと思わず、素直に思ったことを書くようにしましょう。
おすすめは、印象に残っている業務から書き始めることです。
その方が書きやすいですし、印象に残っている業務からは、
・好きな作業、嫌いな作業
・自分が大切にしている思い(価値観)
などが見つかる可能性があります。
印象的な業務から書き始めることで、「自分がどんな仕事に向いているか」「やりたいこと」にも気づきやすくなるでしょう。
単に担当した業務や仕事だけを書いていないか?
「経理事務を3年した」「営業で新規顧客の開拓をした」「部下の教育担当に就いた」など、単に担当した業務を書いても見えてくるのは、経験と専門知識くらいのものです。
担当した業務がバラバラだと、「何の一貫性もない……」と逆に落ち込んでしまうかもしれません。
そこで重要になるのが、そのときにした自分の行動や工夫です。
具体的には、
・工夫したことは?
・どんな知恵、勉強、方法で乗り切ったのか?
などを、当時のことを思い出して振り返ります。
担当した業務と一緒に、自分の行動や工夫も書き出すことは、他社で応用が効くスキル(ソフトスキル/ポータブルスキル)の発見につながります。
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事実と感情を分けているか?
キャリアの棚卸しでは、客観的な視点である事実と、主観的な視点である感情を分けて書きます。
この事実と感情がごちゃごちゃになっていると、「自分に何ができるのか」がよくわからなくなってしまうからです。
たとえば、仕事の結果でいえば、「イベントで1000人集客した」は事実かもしれません。
しかし、「SNSを使って1000人集客した」は、SNSで1000人を誘導した根拠がない限り、願望である可能性があります。
「こうありたい」「こんな強みがほしい」といった気持ちと、実際に起きた出来事は分けて書くようにしましょう。
弱みを直すと、強みも消える
強みを見つけるときには、自分の弱みにも目を向けてみましょう。
弱みと強みは表裏一体であり、短所は長所にもなります。
たとえば、短所が「頑固な性格」であれば、それは「こだわりがある」「信念を持っている」とも言い換えられます。
▶︎▶︎ <長所>こだわりがある、信念がある
そのため、自己分析をしても「弱みしかない」「悪いところばかり目につく」という人は、同じだけ強みを持っているといえるでしょう。
注意点として、弱みは必ずしも改善すればいいというわけではありません。
なぜなら弱みを改善することで、あなた独自の強みも薄れてしまう可能性があるからです。
大切なのは、自分の弱みを理解していること、弱みとどう向き合っているかです。
自身の弱みを自覚しつつ、その弱みをカバーする方法を知っているかどうかが、面接等では求められます。
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今の会社に不満がないなら、もう少し働いてみるのもあり
転職したい理由は人によってさまざまですが、スキルや経験に自信が持てないのであれば、今の会社でもう少し頑張ってみるのもありかもしれません。
同じ会社にある程度勤めていると、「将来が見えない」「このままでいいのか」など漠然とした不安が出てくるものです。
しかし、今の会社に特に不満がないのであれば、無理に辞める必要もないでしょう。
転職すると新しく得られるものもありますが、同時に失うものもあります。
客観的に見て「まだ他社で活かせそうなスキルがない」「経験が不足している」と感じるときには、もう少し今の職場で働いてみるという選択も改めて考えてみてください。
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まとめ
転職における強みとは、経験・スキル・できることなどの言葉に置き換えられますが、つまりは「仕事で役立つ力」を指します。
強みというと、圧倒的な実績や専門性をイメージしてしまうかもしれませんが、それだけではありません。
仕事においては「私はこんなことで御社に貢献ができますよ」と価値を伝えられればいいので、小さな成功体験やスキルでもいいのです。
今の会社でお金をもらって働けているのであれば、その仕事ぶりや働きは評価されているということなので自信を持ちましょう。
転職では企業が求める人物像を知り、企業と自分の接点を見つけて、強みを伝えることも重要です。
キャリアの棚卸しで強みを探しつつ、自身の経験やスキルがどんな業界・職種で需要があるのかも調べてみてくださいね。